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トイレのらくがき

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僕はいつだって自由さ
好きなときにどこにだって行ける

今日もお気に入りのこの場所へ
真っ赤なワーゲンバスの下

お腹が空くまでお昼寝をしよう
 
だけど今日はいつもと違ってた
ちょっぴり胸騒ぎがしてたんだ

コツコツコツ
僕の睡眠を邪魔をするあの音はなぁに?

コツコツコツコツ・・・
下品な音を立てて近づいてくる

僕は片目だけ開けて、静かに音の行方を追った

まるでおろしたてのピカピカの靴で、
安っぽい毛皮に身を包んだふとっちょおばさんが歩いてくる

フン!僕の天然毛皮だって負けていないさ

しかし、あれが貴婦人というものなのか・・・
想像とはだいぶ違うや・・・

この時、僕は悪い予感がしたので慌てて目を閉じた

だけど真っ赤なワーゲンバスから、5センチほど飛び出した
自慢のシッポをあろうことか思い切り、ご立派な足で踏んづけられ 僕は思わず悲鳴をあげた

「フギャ!」

悪い予感はいつも的中する
そして、決まって回避できない仕組みになっている

「まぁ、ごめんなさい」 しゃがれた声で貴婦人は言う

まだ感じるシッポの痛みと格闘しながら、僕は何事もなかったように寝たふりを続けた

ん?なんだこの匂いは!
間違いなく匂いの発信元は貴婦人で、容赦なく襲い掛かる強烈な匂いに僕は思わず息を止めた

それが香りのお水だってことを知るのはもう少しあとのお話

貴婦人はこんな風に続ける
「そうだ あなたウサギを見なかった?」

寝たふりをしていたにも関わらず、僕の体は正直で 耳だけピクンと反応してしまった

そう、ウサギには見覚えがあった・・・
 
 


・・・それはちょうど15分前の話

ウサギはひどく慌てた様子で、僕の前をピョンピョン跳ねた
そして一度だけ僕に振り返りウィンクをした ・・・

かのように見えたけど、本当はケガをしているのか、片目をつぶったままだった

「あのウサギったらね、私の宝石を盗んでったのよ!!」
貴婦人は機関銃のごとくまくし立てた

ここでおおよその予想はついた

きっと盗まれた宝石はルビー
 
そのウサギが大事そうに(何か)を抱えていたことは黙っていよう

僕はあくびをしながら体を起こした
一、二度 伸びなんかをして、そこでようやく目を開けた

そして貴婦人にこう言ってやったのさ

「ウサギなんて知らないよ」

「あら、、、そう、、、」

残念そうに呟いたあと、貴婦人は食い入るように僕をジッと見ている

「ふーん、、、あなたもステキな宝石を持ってるじゃない」

僕の瞳はエメラルド ママゆずりのエメラルド
そりゃあ美しいに決まってる

そんなことはわかってる  わかってるけどさ 、、、
これはあんたの宝石じゃないだろ?

僕の心の臓は超高速フル回転で稼動し始めた

貴婦人はニヤニヤ笑いながら、しわちゃくれの手を こちらに向って真っ直ぐに伸ばし始めた

僕は自慢のシッポをブンブン回し しわちゃくれの手を払いのけ、すぐさまダッシュさ

ああ、なんてツイてない・・・

「胸がザワザワしたらすぐに戻ってきなさい」

いつもママが言っていたのに

だけど好きなんだ この場所が
真っ赤なワーゲンバスの下

目を覚ませ! 今は緊急事態なんだ!!

今だけは今日のディナーのことや、可愛いあの子のことは忘れて

走れ 走れ
 

なんでだろ  
今日に限って体が鉛みたいに重いんだ

いつもの軍隊アリを飛び越えて
僕は生まれて初めて全速力で走った
 

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